「敏感な人」が好転反応を乗り越えるために

この記事は前回の記事の続きです。

 

もくじ 

 

敏感性のセルフテスト

アーロン博士は敏感さを図る心理テストを作りました。そのテストはアーロン博士のホームページに掲載されています。 

Are You Highly Sensitive?

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このテストをやってみると、私もあてはまる項目が多くあります。でも、30代後半になるまで気づきませんでした。私の場合は30歳で一義流気功を受けるまで、大きな異常反応に心が覆われていて自分が敏感かどうかにあまり意識が向いていなかったように思います。

  

アーロン博士のHSPテストの最後の項目に

子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた

とありますが、私の子ども時代はまさにそうでした。

 

異常反応の解体気功を受けて

30歳のころに小池先生のところで一義流気功を受けました。私は異常反応が24%あり、これはどちらかというと割合が高い部類でした。小池先生から「すぐに気功を受けたほうがいいよ」と言われました。

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私がいろんなことに敏感なのは、異常反応のせいだったのかな?(と、ここまではっきりと捉えていませんでしたが)とか、

好転反応が終わったら、私もみんなと同じように「普通」になるのかな?

と思ってきました。(そもそも「普通」って何なんだ?…という話ですけどね)

「異常反応」は一義流気功の知識体系に属する概念です。詳しくは以下のいずれかの記事をご参照ください。
minori-yadorigi.hatenablog.com

minori-yadorigi.hatenablog.com

 

異常反応と敏感気質

異常反応が取れて、その好転反応も乗り越えてきたけど、「敏感性」という部分だけは残りました。なぜってそれは異常反応の産物などではなく、先天的な私の気質だったからです。何か治療を受けたからといって「治る」というものでもありません。

好転反応中は、「トラウマの記憶を直視する」という過程があります。その過程で、私はとてもつらい思いをしました。 

「ひといちばい敏感な人」には、自分の内面の感情にも敏感であるという特徴があります。「トラウマの記憶の直視」は、私にとって人一倍つらい過程でした。

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↑ 過去記事のこのイラストでは、左の好転反応を体験している人が実はHSPであるというイメージで描いています。

異常反応 解体後の注意 - 宿木御法のWhite Magic Life!

 

私は家族にも、異常反応の解体後にこのような過程を経るということを説明しました。説明したにも関わらず、理解されなくて、そのことでも大変な思いをしたことを覚えています。今考えると家族は「理解しなかった」わけではなく、「理解した」からこそどうしたら良いかわからなくなくて困ってしまったのではないかと思います。どうしたら良いか分からないけれど「何とかしなければ」と思い、私に「正常になりなさい」という言葉をかけたのかもしれません。

アーロン博士の著書『ひといちばい敏感な子』を読んで、そう思うようになりました。

 

気質を理解されない子どもたち

アーロン博士の『ひといちばい敏感な子』を読むと、HSCがさまざまな場面で誤解されたり、「普通じゃない」と言われて受け入れられなかったりするという事例が書かれています。

 

HSCの6つの特徴をもう一度見てみましょう。

  1. 細かいことに気づく

  2. 刺激を受けやすい

  3. 強い感情に揺さぶられる

  4. 他人の気持ちにとても敏感

  5. 石橋をたたきすぎる

  6. よくもわるくも注目されやすい

エレイン・N・アーロン『ひといちばい敏感な子』より引用

 

HSCは刺激に圧倒されやすく、自分の内外の感情にも敏感なため、新しい環境に慣れづらかったり、人が集まるところに行くのをためらうこともあります。このような特徴をもつ子どもたちは、親が期待するような振る舞いをしないこともあります。

HSCが幼稚園に行くと毎日のようにおびえている時。

サッカーや野球などのチームスポーツを嫌がる時。

サマーキャンプに参加したがらない時。

パーティに招待されて喜ばない時。

↑(著者のアーロン博士はアメリカの心理学者です。アメリカでは「パーティに参加する」というのが社会的にとても重要なことのようです)

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『ひといちばい敏感な子』読書会・資料より

 

そして自分の内外の感情に圧倒されている時

そんな時、親はHSCのことを「困った子だ」「育て方が悪かった」などと思いがちであることも書かれています。

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『ひといちばい敏感な子』読書会・資料より

 

敏感な人が「異常反応の解体」気功を受けると…

異常反応の解体後の好転反応期も、「ひといちばい敏感な人」が(ほかの多くの人と比べて)特異な反応をしうる場面だと私は思います。異常反応の解体後にやってくる好転反応というのは、おおざっぱに説明すると以下のようなものです。

(以下は当ブログの過去記事「異常反応の解体後の注意」からの引用です。)

異常反応を解体すると、異常反応による心の毒の生産がストップし、潜在意識が今ある心の毒の処理に取り掛かります。

「毒の処理」は今できるものの中で優先順位の高いものが選ばれます。

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心の毒がある程度減ってくると、次により重い心の毒の処理に取り掛かります。

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ここで、悲しみや怒り、恐れ、落ち込みなどが現れることがあります。

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これは、心の毒の処理に「できごとの記憶に直面する」という過程が必要であるためです。そうすると、感情による反応が現れることがあります。

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これは、心の毒の処理の過程の一つです。異常反応があった時期のように長くは続きません。

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しかしできごとの記憶に直面している間はとても辛い思いをします。周りの人がこのことをよく理解し、見守るようにしてください。

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一番下の「できごとの記憶に直面している場面」で、「敏感な人」はつらい思いをします。「敏感な人」は自分の内面の感情にも敏感だからです。

この過程では、できごとに伴った過去の感情がよみがえってきます。感情を直視することが「心の毒の処理」の条件になるのですが、この間「敏感な人」は過去の自分の感情に圧倒されてしまうこともあります。

こうした時に周囲の人に必要とされるのは、純粋に「理解すること」だと思います。敏感気質というものがどういうものかきちんと理解し、その上で相手を尊重する気持ちがあれば、戸惑わないでサポートできると思います。

周りの人がしっかりと理解してサポートしてくれれば、「敏感な人」も無事に異常反応解体の好転反応を乗り切ることができるはずです。

これから私の気功を受けてくださるHSPやHSCのクライアント様が、好転反応で(私と同じような)大変な思いをしないようにと願いを込めて、アーロン博士の著書の読書会をやっていこうと考えています。

 

参考資料

エレイン・N・アーロン著/明橋大二訳『ひといちばい敏感な子』(2015年 一万年堂出版)