筋肉の硬直をゆるめると、関節の痛みが軽くなるのはなぜ?~テンセグリティ理論より~

もくじ

 

ヨットのマストが倒れないのはなぜ?

ヨットのマスト(帆ばしら)が倒れずに立っているのはなぜでしょう?
下の図のように、前後でワイヤーに支えられているからです。

 

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強い風を受けてもマストが折れないのはなぜでしょう?

ワイヤーに弾力性があり、風を受けても柔軟によくしなるため、マストにかかる力をうまく逃がすことができるからです。

人の筋骨格系も、これに似たようなものです。

 

骨と筋肉の関係 


www.youtube.com

youtubeよりリンクさせていただきました。動画にある立体は、棒がゴムで引っ張られることによって出来上がっています。棒と棒は接していません。手で上から押さえると、変形して圧が分散されるようになっています。このような構造のことを建築用語で「テンセグリティ構造」と言うそうです。

人間で言えば、棒は骨にあたり、ゴムは筋や筋膜にあたります。骨と骨は接していません。骨と骨の間にしなやかな筋肉が介在していることによって、骨が自由に動けるようになっているのです。

筋肉が硬直している状態は、テンセグリティ構造の立体のゴムの部分が硬くなってしまった状態と似ています。圧がかかってもうまく力を分散できず、棒と棒がぶつかってしまうところが出てきます。関節がうまく動かないとか、関節に痛みが出ている時というのは、ちょうどこんな状態です。

intensiondesigns.ca

 ↑ こちらのサイトでは、さまざまな生体を模倣したテンセグリティ立体の画像が見られます。

 

関節の痛みへのアプローチ 

痛みを取り、関節がよく動くようにするためには、まずは骨と骨をつなぐ筋肉の硬直をゆるめることが大切です。

骨と骨の間が狭くなることが「加齢によるもの」だという説明はよく聞きます。それに比べて「筋肉の硬直」という問題は見過ごされやすく、放置されやすい問題かもしれません。ふつうに生活していると、加齢にしたがって筋肉の柔軟性が低下していくということはあるかもしれません。しかしそれは、年を取ったからといって取り返せない問題ではないはずです。

 

気功が得意とすること

気功で筋肉ゆるめるメリットは、体の深い筋肉(インナーマッスル)までゆるめることができる点です。手で押したり簡単にストレッチしただけでは届かない、深い筋肉や小さな筋肉もゆるめることができる点です。

 

参考資料

医学書院『アナトミー・トレイン 徒手運動療法のための筋筋膜経線 第3版』

calil.jp