「異常反応の影響」レポートの途中ですが、ここで私の考察をはさみます。
不良品のロボット
前回記事の、異常反応42%だった方のレポートを読んだとき、私は東田直樹さんの本のこの部分を思い出しました。
僕たちは、自分の体さえ思い通りにならなくて、じっとしていることも、言われた通りに動くこともできず、まるで不良品のロボットを運転しているようなものです。
『自閉症の僕が跳びはねる理由 会話のできない中学生がつづる内なる心』第一章 言葉について 10 どうして上手く会話できないのですか?より引用
この本を最初に読んだ時から、「不良品のロボットを運転しているようなもの」という表現が深く印象に残っています。分かりやすい表現だったからというか、その表現の中に筆者の悲しみが感じられたからです。自分の体が不良品のロボットのようだなんて、とても悲しいことなのではないだろうかと私には感じられました。
手足の動き
同じ本の中に、こんな記述もあります。
手足がいつもどうなっているのか、僕にはよく分かりません。
僕にとっては、手も足もどこから付いているのか、どうやったら自分の思い通りに動くのか、まるで人魚の足のように実感のないものなのです。
自閉症の子供が、人の手を使って物を取ろうとするのも、距離感が分かってないために、自分の手ではどれ位伸ばせばそれに届くのか、どうやればつかめるのかが、分からないからだと思います。実際に何度も経験すればできるようになります。
『自閉症の僕が跳びはねる理由 会話のできない中学生がつづる内なる心』第三章 感覚の違いについて 28 手や足の動きがぎこちないのはどうしてですか?より引用
引用部分の後半は「クレーン現象」と呼ばれているものですね。
東田さんの本のほかに私が頼りにしているmoroさん(自閉症のお子さんがいらっしゃる方)のブログには、このように描かれています。
ボディーイメージがつかめない
自閉症について書かれた本に、こんな記述があります。
幼いうちはだれでも、ボディーイメージはあやふやなものですが、発達とともに少しずつ正しく把握できるようになっていきます。
しかし、自閉症スペクトラムがあると、的確なボディーイメージをもちにくく、体のパーツの動かし方がぎこちなかったり、各パーツを別々に動かすことができなかったりします。とくに、自分の目では見えない頭や背中、おしりなどは、感覚的にわからない場合があります。
『最新図解 自閉症スペクトラムの子どもたちをサポートする本』(ナツメ社・2017)より引用
長くなったので、続きは次回の記事に書きます。
参考資料
東田直樹『続・自閉症の僕が跳びはねる理由』エスコアール(2010年)
『最新図解 自閉症スペクトラムの子どもたちをサポートする本』ナツメ社(2017年)