この記事は以下の過去記事の続きです。
自閉症と異常反応⑮ フラッシュバック&パニック その4 - 宿木御法のWhite Magic Life!
前回は異常反応と連結したトラウマ(トラウマツリー)が、異常反応の解体後にどうなるか?という話を書きました。
トラウマに心の毒を供給する土壌のような異常反応がなくなるため、トラウマに新しく心の毒が供給されるということはなくなります。
しかし、ツリーの中に残っている大量の毒の処理で苦労する場合もあるということについても書きました。
苦労はするんですが、がんばって処理を終えるとトラウマに苦しまないで済むようになります。
異常反応を解体するメリット
異常反応の解体前は、理屈では語れない苦痛(トラウマ)で苦しんでいて、しかもずっと苦しみ続けなければならないような仕組みになってました。
トラウマが刺激されるたびに異常反応から心の毒が供給され、トラウマが強化されるからです。
異常反応と連結された状態のトラウマの処理に潜在意識が手を付けようとすると、フラッシュバックやパニックに悩まされることになるんだと私は思います。
異常反応の解体後の心の毒の処理段階では、これに似たような感じになりますが、終わりがあるという点が解体以前とは違います。
周囲の人の理解
心の毒の処理段階では、周囲の人の理解が大事になってくると思います。
できれば東田直樹さんのご家族のように、見守ってもらいたいと私は願っています。
以下は過去記事にも引用させていただいた自閉症作家・東田直樹さんの著書の記述です。
幼かった頃、家族は僕の様子を観察し、泣いている原因を探ろうとしましたが、理由はさまざまでした。それに気づいてからは、少しでも泣いている僕の気持ちが軽くなるように努力してくれたのです。
母は僕が泣くと「つらかったね」「悲しかったね」と言って、よしよししながら抱きしめてくれました。父や姉から、泣くなと注意されたこともありません。母の腕の中で、泣きたいだけ泣くことができたのは、本当に幸せでした。
東田直樹『跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること』イースト・プレス(2014年)
「泣いている理由がわからないのにとにかく抱きしめてくれる」というのは、とても愛のある接し方だなと思います。
「理由なく泣き続ける人」を前にしてうろたえたり、怒ったりしてしまう場合だってあると思うんですよ。
私の好きなmoroさんのブログにも、パニックについてこんな風に書かれていたことがありました。(moroさんは自閉症のお子さんをもつお母さんです。)
「恐怖」が大きな手みたいにして襲ってくるようなのではないかと想像されたところが、すごく印象に残っています。
「理解すること」以前に「想像すること」は、とても重要なことなのではないかと私は思います。
参考資料