この記事は以下の過去記事の続きです。
自閉症と異常反応⑫ フラッシュバック&パニック その1 - 宿木御法のWhite Magic Life!
「フラッシュバック」は心の毒の処理過程における「できごとの直視」の一種のようだけれど、自閉症の人が体験するそれは、多くの人の場合と様子が違います。できごとを思い出した時の反応はとても激しく、そして突然「嵐のように」思い出されるようです。
これはなぜなのでしょうか?このことに関する私の考察を書いてみます。
異常反応とトラウマ
異常反応とは、2歳までに作られる恐怖心です。
minori-yadorigi.hatenablog.com
異常反応は「心の毒の生産工場」のようなもので、知らないうちに心の毒を生み出し続けてしまうものですが、それ以外にもやっかいな側面があります。
それは、ある共通性をもってほかのトラウマと連結し、生み出した心の毒をトラウマに供給し続けてしまうという点です。
これはとても怖い側面です。
トラウマとトラウマの連結
異常反応がそんなに大きくない人でも、トラウマどうしが共通性をもってつながることがあるという点については、なんとなくピンとくるのではないでしょうか。
たとえば…
具体例
①失恋から1年経っても立ち直れない
②カウンセラーさんと話してみて、子どものころ両親が離婚した時の心の傷がまだ癒えていないということがわかった
こういう場合、一義流気功的な視点から見たら「トラウマの連結」ということが考えられます。
トラウマ① 両親の離婚
トラウマ② 一年前の失恋
この二つのトラウマが、共通性をもってつながっているわけです。
この場合、カウンセリングならばトラウマ②だけではなくトラウマ①のほうも癒しましょう、という発想になるのではないでしょうか。
一義流気功も同じです。トラウマ②の心の毒を抜いただけではあまり効果がないので、トラウマ①からも心の毒を抜きましょう、とご提案すると思います。
異常反応とトラウマの連結
これと同じようなことが、「トラウマ」と「トラウマ」の間だけでなく、
「トラウマ」と「異常反応」の間でも起こってしまいます。
図に表すとこのような感じです。
トラウマは枝分かれする木のように、異常反応は木に養分を供給する土のようになります。
このようになってしまっていると、トラウマが刺激されるたびに異常反応から心の毒が生み出され、その毒によってトラウマが強化されてしまいます。
具体例
具体例を出します。
過去記事ではベビーベッドから落ちてしまった赤ちゃんの例を出しました。
この経験がトラウマ①に相当します。
この赤ちゃんが大人になったとき「赤いじゅうたん」「魚のにおい」「エンジン音」がする場所で、何かひどくショックな経験をしたとしたら、それがトラウマ②です。
たとえばそういう音やにおいのする、赤いじゅうたんのあるレストランで、大切に思っていた恋人と別れたとしたら、この人はその失恋をなかなか忘れられないはずです。忘れないどころか、何度思い返してもいつまでも苦痛なのではないでしょうか。
このことについて誰かと話し合って、「どうしてそんなにも苦痛に感じるのか」と尋ねられても、おそらくこの人は相手の納得がいく答えを返せないでしょう。
この場合、連結しているのは二つのトラウマなのですが、片方が普通のトラウマではなく異常反応なのです。
異常反応には理性が届きません。本人も知らないうちに心の毒を生み出し続けてしまうため、それとつながってしまったトラウマは非常にやっかいなものになります。
単純なたとえ話を出しましたが、実際の異常反応は個数にすると多い人で何千、何万という数になります。異常反応が大きい人ほど、もっと複雑に、そして強力に、いろんなトラウマと連結してしまっているのではないでしょうか。
自閉症の人が困っている「パニック」
過去記事でも引用しました東田直樹さんの著書をもう一度引用させていただきます。
パニックになる原因にはさまざまなことが考えられますが、環境を整えたり本人にとって不快なことを取り除いたりしても、パニックになることもあるのです。
(中略)
思い通りにならない体、伝えられない気持ちを抱え、いつも僕らはぎりぎりのところで生きているのです。
気が狂いそうになって、苦しくて苦しくてパニックになることもあります。
そんな時は泣かせて下さい。側で優しく見守ってください。苦しさのあまり自分が分からなくなり、自傷、他傷行為をするのをとめてください。
『自閉症の僕が跳びはねる理由 会話のできない中学生がつづる内なる心』第五章 活動について 57 どうしてパニックになるのですか?より引用
環境を整えたり本人にとって不快なことを取り除いたりしても、パニックになることもあるとかかれています。
このことは、異常反応の不合理性と関りがあるのではないかと私は考えています。
それについては、次の記事に書きます。