WMフォーカス 規定3「もののけ姫」で学ぶ無害性
「WMフォーカス」は、アリス・ベイリー著『ホワイトマジック』の中で私の気になる箇所にフォーカスしてそこから考えたことを書くコーナーです。秘教を知っている人も知らない人も楽しんでいただけたら幸いです。
この記事は、規定3「魂の光と肉体の光」に関する内容です。
要約はこちらの過去記事に掲載しています。
minori-yadorigi.hatenablog.com
この記事は映画「もののけ姫」の解釈を含みます。ネタバレご注意ください。
「もののけ姫」のクライマックスは?
1997年に公開された「もののけ姫」。公開当時、私は中学生で映画館に見に行きました。見る前から「残酷なシーンもあるよ」と聞いていましたが、とくに戦のシーンはちょっと刺激が強かったと記憶してます。中学生にはテーマが難しすぎて、一度見ただけではなかなかよく分かりませんでした。
大人になってからテレビで放送されるタイミングで何回か見て、いろいろなテーマが含まれていたんだなと思いました。
ところで、この映画の「クライマックス」はどこだと思いますか?
シシ神の首が撃たれるところ?
アシタカとサンが首を返すところ?
モロがエボシの腕を噛みちぎるところ?
タタラ場が緑に包まれるところ?
そもそも「クライマックス」とは何でしょうか。
私は国語科教師時代に「読みの授業研究会」(読み研)の分会に参加しておりました。
読み研が提案する「構造よみ」のやり方に沿って考えますと、「クライマックス」は「二つの勢力の決着がつくところ」となります。
「二つの勢力」を何に設定する?
作品の解釈は、その作品の中の何を「二つの勢力」と見るかで変わってきます。「構造よみ」は文学作品の読み方ですけども、映画にも応用してみましょう。
「もののけ姫」の場合は
森とタタラ場
エボシとサン
モロとエボシ
自然と人間
など、いろいろ考えられますが、ここでは「ホワイトマジック」に書かれている「無害性」を考えるために
アシタカと腕のあざ
で考えたいと思います。
「腕のあざ」は何を表す?
アシタカの腕のあざは、作品の冒頭でタタリ神になったイノシシとアシタカが戦った時にできたものです。
https://www.ghibli.jp/works/mononoke/ より引用
このイノシシ(ナゴの守)は西の国で鉄の玉に撃たれ、痛みと苦しみでタタリ神になってしまった、というストーリーです。
アシタカに倒されたナゴの守は
「汚らわしい人間どもめ。我が苦しみと憎しみを思い知るがいい」
と言って死んでしまいます。
テレビで「もののけ姫」を見た後、私はスーパーでひき肉を見るとタタリ神を思い出してしまいますΣ( ºΔº 〣)
どうでも良いですがひき肉よりももっと色がどす黒いですねタタリ神は。
作品を通してこのどす黒いひき肉状のものが「タタリ神」と呼ばれていますが、「神」といっても(たとえば「シシ神」のように)個別の神様を指す名前というわけではないようです。
言葉で説明するなら、
「恨みや憎しみの感情を視覚化したもの」
といったところでしょうか。
秘教用語でいうと重たいアストラル物質のかたまりなどと言えるかもしれません。
想念形体の本『思いは生きている』を見てみると、「貪欲」や「怒り」と「悪意」の感情の色を混ぜるとちょうどタタリ神の色のようになると思います。
アシタカは
「そのあざはやがて骨までとどいてそなたを殺すだろう」と予言され、そのために村を出ていかなくてはならなくなります。
https://www.ghibli.jp/works/mononoke/ より引用
しかし「村を救ったのに、なんでオレが追放されるんだよ!くやしい、つらい、痛い!」などとは言わず、潔く旅立ちます。
冒頭の場面だけでも、アシタカは勇敢で強い心を持った若者だということが分かりますが、腕のあざが痛むときはあぶら汗(≧Д≦;)をかいてしまっています。しかも呪いだとか言われて普通ならすごく嫌な気持ちになるはずですよね。それなのにこんなに潔く振る舞えるのはすごいイケメンですね。
ストーリーが進んでいくと、このあざは「持ち主の感情が高ぶったときにすごい力を腕に与える」ということが分かってきます。
https://www.ghibli.jp/works/mononoke/ より引用
アシタカが射た矢で武士の腕や首がちぎれてしまったり、刀をまげたり、タタラ場の重い扉を一人で開けたり。
ナゴの守を撃ったのがエボシだと分かった時、「腕が勝手に刀を抜こうとしてそれを必死に抑える」という描写もありました。
呪われた腕はめっちゃ強い。けれど取り扱い注意
ということが、アシタカにはもう分かっているんですね。
アシタカが戦っている相手とは?
腕のあざはだんだん広がって、ストーリーの終盤では上半身にまで及んでいます。
https://www.ghibli.jp/works/mononoke/ より引用
あざの能力から考えて、このアシタカはめっちゃ強いはず。
シシ神の首を持って帰ろうと必死に逃げるジコ坊に迫ったとき、
「首を返せ!お前が間違ってる!おれの考えが正しい!」と言って力ずくで取り返すこともできただろうと思います。
しかし「自分が正しいから」といって暴力を振るうことはせず、あくまで説得するアシタカ(イケメン)。
このようにとにかくイケメンなアシタカですが、映画の中では彼の内面があまり見えません。
『ジブリの教科書「もののけ姫」』という本を見ると、宮崎駿監督はこのように言っています。
それからもう一つ、『もののけ姫』の中の非常に大事な部分として、コントロールできなくなってしまった憎悪をどうやったらコントロールできるかっていうテーマがあるんです。(中略)そしてアシタカは自分のコントロール出来ない腕の力を、なんとかしてコントロールしようとする。その過程は、自分の内部で爆発する憎しみをなんとかしてコントロールしようとする努力の過程なんです。でも僕はそのことについて一切説明しなかった。説明すればするほど嘘臭くなるし、どうしてアシタカに憎しみがコントロール出来て、僕には出来ないんだっていうこの映画を見た子供たちの疑問にはとうてい答えることができないから。
あまり内面が表に出ないアシタカですが、アシタカが対決していた相手は「(腕のあざに象徴される)自分の内部で爆発する憎しみ」だったのだと考えると、「構造よみ」としてうまく作品の解釈ができそうです。
作品の「クライマックス」は
「アシタカ」と「腕のあざ」という二つの勢力はどのように決着するのでしょうか。
サンとアシタカがシシ神に首を返したあと、目覚めてサンと会話しているシーンでアシタカはこのように言っています。
「シシ神は死にはしないよ。命そのものだから。生と死と、二つとも持っているもの。私に生きろと言ってくれた」
そして腕を見るとあざが薄くなっています。個人的にはここがクライマックスだと考えたいです。
ストーリーの序盤では「あざが骨に達して死ぬ」って言われてましたが、コントロールが難しい「憎しみ」をコントロールしたからシシ神に「生きろ」って言ってもらえたんじゃないかなと思います。
「無害性」を志向する人は
いろいろなテーマが含まれている「もののけ姫」ですが、アシタカが目指していたものをホワイトマジックの言葉で表すと、それは「無害性」なのではないかと私は思います。
規定3の中で私が好きな部分を引用してみます。
私たちは個人として、これ(※有害な磁力状態)をどのようにしたら変えることができるのであろうか。それは、私たち自身が無害性を発達させることによってである。そのため、この観点から自分自身を詳しく調べ上げなさい。あなたの毎日の行動と言葉と思考を調べ上げ、それらを完全に無害なものにしなさい。あなた自身や他の人々についての思考を建設的で肯定的なものにし、その影響を無害なものにするように努力しなさい。気分や憂うつや感情的な反応によって仲間を傷つけることがないように、自分の感情が他の人々にどのような影響を与えているかを調べなさい。これに関連して、強烈な霊的熱性や熱狂も、場違いであったり方向性が誤っていたりすれば、容易に仲間を傷つける場合があることを覚えておきなさい。
『ホワイトマジック』規定3魂の光と肉体の光より引用(※)は筆者注。
シシ神退治でジコ坊とエボシが森に入ったとき、アシタカはこんな風に言っています。
「森とタタラ場、双方が生きる道はないのか!」
両者は争っているけれど、アシタカにとっては両方とも生きてほしい大切な存在だったんですね。
規定3の表現でいうと「他の人々についての思考を建設的で肯定的なものに」するということができているからこそ、こんなふうに言えるのではないかと思います。
それに対してジコ坊が言っている
「あいつどっちの味方なんだ~?」
というセリフが個人的にはナイスだと思います。
「無害性」を実現しようと努力すると、それを目指していない人からは「どっちの味方なんだ??」みたいな感じに受け取られることもあると思います。
でも「味方」とか「味方じゃない」とかいうことを超えて、自分自身や他の人々についての思考を建設的で肯定的なものにするということがホワイトマジシャンへの道なんだと思います。
まとめ
宮崎監督は
「どうしてアシタカに憎しみがコントロール出来て、僕には出来ないんだっていうこの映画を見た子供たちの疑問にはとうてい答えることができない」
と書いていますが、
規定3を勉強した私のまとめとして、このような子どもたちの疑問にジュワルクール大師ならどう答えるかを考えて書いてみたいと思います。
アシタカだって、憎しみをコントロールすることなんか最初はできなかっただろう。これは努力して何度も練習しなければできないことなんだ。野球だって、トランペットだって、ダンスだってそうだろう?上手にできるようになりたいなら、努力して練習しないといけないんだ。アシタカは努力したからコンロトールができたんだ。
仲間と意見が食い違って「自分が正しい」と思っても、それを理由に相手を傷つけたりしてはいけない。人間社会で生きていくなら、これから先、そういう思いに何度も駆られることがあるだろう。そのたびに考えるんだ。「ここで相手を攻撃したらどうなるか」「それによって周囲にどんな影響を与えるか」と。自分とは違う考えを持つ人がいたとしても、その人は君を傷つけたいからそう思っているわけじゃない。人間なら一人一人考え方や思いが違って当然だ。だから考えるんだ。「自分も、相手も、納得できるようにするにはどうしたらいいか」と。
(まとめ:宿木御法)
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考資料
『ホワイトマジック(上)』(AABライブラリー)
OK牧場 ~あなたも私もOK~
こんにちは、宿木御法です。
TA(交流分析)カウンセラーになったので、ここでも交流分析のことを書いてみます。
今日は「OK牧場」についてです。
OK牧場とは…?
「OK牧場」と聞いて、最初はこの人しか思い浮かびませんでしたが…
(すみませんあまり似てませんがガッツ石松さんです)
「OK牧場」は、英語では「OK corral」というそうです。”corral”は「囲み」という意味です。上の図は、4つに仕切られた平面だと思っていただくと分かりやすいと思います。
4つのマスが表すものは、自分と他人に対する捉え方です。
私たちの心は、この囲みの中を移動します。
理想は常に右奥の「あなたも私もOK」のマスの中にいることですが、
何かがうまくいかない時やつらいことがあった時、
他の3つのマスのどれかに動いていくこともあります。
「あなたも私もOK」に
気功のお客さんと「交流分析で考えるモヤモヤシーンのコミュニケーション」という取り組みをしていますが、参加条件として一義流気功メニュー「愛05」「固着した悪意の解体」の二つを受けられた方ということにさせていただいています。
なぜかといいますと、この二つの気功を受けるとOK牧場の「あなたも私もOK」のマスに移行しやすいからなんです。
この二つのメニューは「自己・他者肯定セットメニュー」としておすすめしています。
minori-yadorigi.hatenablog.com
「子ども・子育てに関わるすべての方に」と書いていますが、子どもに限らず対人関係全般にメリットがあります。
余談ですが「あなたも私もOK」っていうと岐阜県民の私は地元の銀行のCMを思い出しちゃいますね…
頼れる銀行OKB!
昔からあるCMだと思いますが、交流分析を勉強した今、テレビCMを見るたびにこの歌詞がめちゃくちゃ心に染みるようになりました。
決して回し者ではありませんが…
いや、でもエリックバーン博士も「良い歌詞だね!」と思っているのではないかと思います。
参考資料
トニー・ティルニー著『交流分析事典』
お知らせ
一義流気功 伊深気療院 webサイトオープンしました。
WMダイジェスト 規定3 魂の光と肉体の光
当ブログの「WMダイジェスト」コーナーでは、アリス・ベイリー著『ホワイトマジック』を私が要約したものを掲載しています。(WMはWhite Magicの略です)
『ホワイトマジック』の内容を読み解くのはとっても難しいです。この要約は「当たっているか分からないけどせめて1点だけでももらえたら…」と勇気を出して書いた高校生のテストの答案のようなものだと思っていただけたら幸いです。
今回は規定3 「魂の光と肉体の光」の要約です。
頭部内の光が輝き出す時、熱誠家は仕事を始める。魂の声を聞くための静寂は、奉仕と無害性によって実現する。人間の仕事には下位王国へのフォースの伝導と、デーヴァ進化系との融合が含まれる。頭部内の光の発光はイニシエーションの前兆である。熱誠家の仕事は聖語を響かせ想念形態をつくることである。
アリス・ベイリー『ホワイトマジック』規定3 p122ー140 要約:宿木御法
アリスベイリー本には「熱誠家」「デーヴァ進化系」など日常では普通に使われない語が出てきます。このブログで「はじめてアリスベイリーを知った!」という人のためにも、また私自身の勉強のためにも、まずは用語説明から書いてみたいと思います。
今回は「デーヴァ進化系」について書きます。
「天使」って…?
私は一義流気功のセラピストですが、一義流気功はスピリチュアルではないと思ってます。一部「生まれ変わり」があるということを前提に作られている気功メニューもあるんですが、それ以外のメニューはあくまで「その人が生まれてから今まで」のことを扱っています。
でも同業のセラピストの中には気功とは別にスピリチュアルに関心を持ち勉強している人もいます。私もそうです。
私がまだアリスベイリーを勉強していない頃、同じ一義流の人に「天使」の話をされたことがありました。
この当時は「天使」と聞いて思い浮かぶのはこれだけで、正直何のことかさっぱり分かっておらず、会話が弾みませんでした。
でも今は、秘教を勉強しているのでこの時よりは話が分かるかもしれません。
人間の進化に並行する「デーヴァ進化系」
そのとき同業セラピストが話していた「天使」のことは、秘教用語でいうと「デーヴァ進化系」に関わりのある話です。
神尾先生の著書『秘教から科学へ』にはこんな風に書かれています。
ここで注意しておいていただかなければならないのは、今までお話ししてきた生命の流れは人間を中心に見てきたものであり、実は進化の過程で人間を通る以外に、人間をまったく通らない流れが存在する、ということです。先ほどの進化の流れの図表61に描かれている"デーヴァ"の系列が、それに当たります。
神尾学『秘教から科学へ』第七章 地球上の進化とエネルギー・システム より引用
神尾先生の本の「図表61」(『神智学大要』より)を見てみると、
樹木や哺乳動物(の魂)は進化して人間になり、そのあと「弟子」「大師」などに進化しますが、
昆虫や鳥や魚(の魂)は進化して人間になるのではなく「妖精」などを経て「デーヴァ」になるように描かれています。
そしてその「デーヴァ」の進化の系列は、人間の進化と並行して描かれています。
神尾先生の本にはこのようにも書かれています。
この図で描かれているデーヴァは、ほぼキリスト教で"天使"といわれる存在を指すものと考えてよいと思います。
神尾学『秘教から科学へ』第七章 地球上の進化とエネルギー・システム より引用
私たち人間(の魂)が樹木や哺乳動物(の魂)だったのはずっと前で、今ある太陽すら生まれていないはるか昔のことなのだそうです。私たちがさまざまな姿を経て進化していくのと同じように、「デーヴァ進化系」もいろんな姿を経て進化していくんですね。
さらに神尾先生の本を引用させていただくと、こんな風に書かれています。
デーヴァは進化し大師のレベルに達した時、人間の進化系列と再び合流します。
通常デーヴァは巨人の姿をしていますが、その体は伸縮自在です。
神尾学『秘教から科学へ』第七章 地球上の進化とエネルギー・システム より引用
ここから私が思い浮かべるのはもうこれしかないです。
https://www.ghibli.jp/works/mononoke/ より引用
映画「もののけ姫」に登場するシシ神。
夜になると「ディダラボッチ」になって、体がめっちゃ伸びる。
「もののけ姫」制作のドキュメンタリー本『「もののけ姫」はこうして生まれた』にはこのように書かれています。
宮崎さんのイメージではディダラボッチは「夜そのもの」。夜空が歩いているように、が発想の原点だったという。その星空のイメージが、今や、絶え間なく発生して流れる泡に転化している。
浦谷年良『「もののけ姫」はこうして生まれた』(徳間書店)より引用
https://www.ghibli.jp/works/mononoke/ より引用
この「ディダラボッチ」の体の中に小さな泡が見えます。
映像制作のときに宮崎監督がCG担当者さんに言った冗談がこちら。
「こういうものって、僕、本物見たことないから分からない(笑)。ナンカ、サイダーみたいな気がしてくるしね」
浦谷年良『「もののけ姫」はこうして生まれた』(徳間書店)より引用
シュワシュワ?な体ですが、シシ神さまも「デーヴァ進化系」の存在なのではないでしょうか。
もののけ姫のことを書いたので、次の記事ももののけ姫のことを書きたいと思います。
テーマは「無害性」についてです。
参考資料
神尾学『秘教から科学へ』(コスモスライブラリー)
TA(交流分析)カウンセラーになりました
去年の夏に「TA(交流分析)カウンセラー」の資格を取りました。当記事では、一義流気功をおもに扱っている私が交流分析の資格を取った理由と、交流分析をどのように使っているかを書きたいと思います。
もくじ
心理の資格を取った理由
心理の知識が必要だと考えたのは「一義流気功の技術をより良い形で活かすため」です。一義流気功の技術はしっかりとしたものだと思っていますが、その技術を用いて「何をするか」が明確になっていなければ、時間をかけたわりに効果が実感されないこともあります。
トラウマケアの気功であれば「いつの時期のどんなトラウマをケアするのか」が分かっていればスムーズですが、相手に質問すればいつも分かるわけではありません。
この体験談は私が気功をやり始めて初期のケースですが、幸運にもクライアントが原因となるトラウマのことをちゃんと把握していたのでうまくいきました。
ですが、こんな風にスムーズには行かないケースも当然あります。
「どのトラウマをターゲットにするか、クライアントと一緒に見つける手法」が何か必要だと考えました。
それで、選んだのが心理療法です。
「愛05」や「悪意の解体」の効果が現れない人は??
一義流気功には「愛05」「固着した悪意の解体」など、他にはない独自のメニューもあります。気功を受けてすぐに変化が見られる方もいますが、そうではない方もいます。
たとえば「愛05」であれば「自己肯定感があがる」「他者への共感力があがる」などの変化が見られるはずです。
「固着した悪意の解体」であれば、「理不尽な怒りを感じる機会が減る」「被害感が減る」などの変化が見られるはずです。
この体験談は「愛05」と「固着した悪意の解体」の効果がとても早く実感されて驚いたケース。でも、もちろんこんなにうまくいくことばかりというわけではありません。
すぐに変化が見られる人と、なかなか変化が現れない人は何が違うのだろう?と考えてみました。よく話をうかがってみると、そこには別種のトラウマが隠れているケースがあります。その場合は、隠れているトラウマをなんとかしないと「愛05」や「固着した悪意の解体」の効果はなかなか現れてくれません。
TA(交流分析)カウンセラーの資格を取得してから今までの1年間の中で、そうしたトラウマを交流分析の手法で特定できたこともあります。
なぜ「交流分析」なのか?
交流分析は心理学の理論でありながら、同時に心理療法でもあります。しかも、その心理療法の手法をカウンセラーが用いるのみではなく、クライアントも日常に使うことができるように整理されているところが魅力です。
交流分析はカナダ出身の精神科医エリック・バーン博士が考えたものです。
ゲーム分析
脚本分析
ドライバー
など、数々の理論が含まれています。
上のE子さんの体験談でも、「悪口を言ってしまう」ことの原因を交流分析の言葉で説明すると「ラケット感情」というものにあたるのだと、今では思います。
(でもこのときは知らなくて、それなのにたまたま探り当てられて、幸運に幸運が重なったように偶然うまくいったようなものだったと思っています)
気功に加えて「心理」を学ぶ理由
同業者からは「なんでそんなに勉強するの?」「気功だけでいいじゃない」と言われたこともあります。ですがたくさんのことを苦労して勉強しているわけではありません。
私はもともと心理学に興味がありました。大学では心理を専門に勉強したわけではありませんが、教職課程で学び、教員採用試験に出題されるものの中では「教育心理」が一番好きでした。中でも「適応規制」などをはじめ、精神分析の理論が一番おもしろいと思っていました。
教員を辞めた後、自分で心理の本を読んだり、心理のセミナーに行ってみたりしました。その中では「対象関係論」などにも興味を持ちました。ですが、それらの理論はクライアント自身が用いるのは難しいものなのではないかと感じます。
「対象関係論」も「交流分析」も、もともとは精神分析と関係のある心理学者が考え出したものです。
私の交流分析の師は、ふくちみずほ先生です。ふくち先生はヒューマン・アカデミーでセラピスト・カウンセラーの育成に携わっている方です。
現在私は交流分析の手法を使って、気功だけでは立ち行かないケースにクライアントさんと一緒に取り組んでいます。
交流分析は奥が深いので、私などまだまだですが、今後さらに勉強して深めていきたいと考えています。
筋肉の硬直をゆるめると、関節の痛みが軽くなるのはなぜ?~テンセグリティ理論より~
もくじ
ヨットのマストが倒れないのはなぜ?
ヨットのマスト(帆ばしら)が倒れずに立っているのはなぜでしょう?
下の図のように、前後でワイヤーに支えられているからです。
強い風を受けてもマストが折れないのはなぜでしょう?
ワイヤーに弾力性があり、風を受けても柔軟によくしなるため、マストにかかる力をうまく逃がすことができるからです。
人の筋骨格系も、これに似たようなものです。
骨と筋肉の関係
youtubeよりリンクさせていただきました。動画にある立体は、棒がゴムで引っ張られることによって出来上がっています。棒と棒は接していません。手で上から押さえると、変形して圧が分散されるようになっています。このような構造のことを建築用語で「テンセグリティ構造」と言うそうです。
人間で言えば、棒は骨にあたり、ゴムは筋や筋膜にあたります。骨と骨は接していません。骨と骨の間にしなやかな筋肉が介在していることによって、骨が自由に動けるようになっているのです。
筋肉が硬直している状態は、テンセグリティ構造の立体のゴムの部分が硬くなってしまった状態と似ています。圧がかかってもうまく力を分散できず、棒と棒がぶつかってしまうところが出てきます。関節がうまく動かないとか、関節に痛みが出ている時というのは、ちょうどこんな状態です。
↑ こちらのサイトでは、さまざまな生体を模倣したテンセグリティ立体の画像が見られます。
関節の痛みへのアプローチ
痛みを取り、関節がよく動くようにするためには、まずは骨と骨をつなぐ筋肉の硬直をゆるめることが大切です。
骨と骨の間が狭くなることが「加齢によるもの」だという説明はよく聞きます。それに比べて「筋肉の硬直」という問題は見過ごされやすく、放置されやすい問題かもしれません。ふつうに生活していると、加齢にしたがって筋肉の柔軟性が低下していくということはあるかもしれません。しかしそれは、年を取ったからといって取り返せない問題ではないはずです。
気功が得意とすること
気功で筋肉ゆるめるメリットは、体の深い筋肉(インナーマッスル)までゆるめることができる点です。手で押したり簡単にストレッチしただけでは届かない、深い筋肉や小さな筋肉もゆるめることができる点です。
参考資料
医学書院『アナトミー・トレイン 徒手運動療法のための筋筋膜経線 第3版』
気功メニュー 筋肉の硬直をゆるめる
日常生活を送っていると、肩や腰、膝や背中がかたまって動かしにくくなることがあります。 放っておくと痛みが出てきたり、動作に支障が出てきたりしてしまいます。
筋肉に対する一義流気功のケアは、体をリラックスさせ、深い筋肉までゆるめる効果があります。痛みを感じる部分だけでなく、関連のある他の部分も視野に入れてケアします。
もくじ
筋肉の硬直の悪影響
筋肉が硬直すると、冷えや痛みを引き起こします。痛みのせいで姿勢が乱れると、もともと痛みがなかった部分にも痛みが出てきたりします。
気功で筋肉がゆるむしくみ
私たちにはもともと「筋肉の硬直をゆるめる」機能が備わっています。その機能にセラピストが加担し、「どこの筋肉をゆるめるか」を指定することによって、狙った筋肉を集中的にゆるめることができます。単に指で押しただけよりも深い筋肉までゆるめることができます。
好転反応について
筋肉をゆるめたあとには好転反応が出ることがあります。もっとも多いのは、ゆるめた場所が発熱することです。セラピストは手を置いているだけなのに、「じんわりと温かくなる感じがする」とおっしゃる方もいます。
硬直が深刻だった場合や、身体に毒がたまっていた場合は、かゆみや痛みが出る方もいます。体幹の筋肉にアプローチすると後でお通じがある方もいます。
これらは改善のための反応ですのでやがて体の状態が良くなると消失します。耐えがたい好転反応が起きる場合は、サポート方法を提案しますのでご相談ください。